「ミになる図書館」の崎陽軒の記事は、これの2つ下にあります
今日は、2つ目の記事紹介をアップしま~す。
途中の『裏切り行為』の部分の内容が、私の考えと違うので反論したいところなのですが。・・・まあ、この記事全体で伝えている内容に価値があると思ったので載せま~す。
そういった意味では、紹介している記事の「すべて」が私と同意見、というワケではございません。
芸能界の労働環境について最近のものと少し前のものですが、関連内容です。
【 SMAPと小林幸子 共同体と市場のせめぎ合い 】
2016年2月18日 05時04分
コチラ 朝日新聞DIGITAL
~引用~
「経済学者・松井彰彦さん
メンバー5人の生放送番組での「謝罪」によって、SMAPの解散が回避された。TVでの街頭インタビューは「解散しなくてよかった」とのコメントで埋め尽くされた。菅義偉官房長官も記者会見で「メンバーの皆さんが一堂に会して解散しないことを表明したということで、本当によかったのではないか」と述べた。同じころネットでは、同じ「謝罪」場面を「公開処刑」と評する書き込みや、独立を阻止する事務所の行動を批判する声が目立った。一連の騒動を、共同体と市場のせめぎ合いの問題として読み解いてみたい。
日本ではタレントは多くの場合、特定の事務所に所属し、芸能活動を展開する。芸能界は厳しい。あるお笑い芸人の話によると、3千人くらい活動中のお笑い芸人がいるとして、自活できるのは200~300人だという。いわゆるタレントと呼ばれる人たちも大同小異であろう。稼げるタレントが所属事務所にお金を落とし、稼げないタレントの食い扶持(ぶち)を賄う。このようなしくみを所属型システムと呼ぼう。
稼げるタレントに独立されてしまっては、事務所の存続、ひいては所属型システムが根底から揺らいでしまう。そこで、意図的か自然発生的かはともかく成立しているのが、「事務所から独立した芸能人は干される」という慣行である。
この慣行は比較的閉鎖的ないし組織化された共同体では存続しやすい。閉鎖的な共同体で「裏切り」行為をした個人は、裏切った相手だけでなく、共同体全体から「村八分」にされる。それによって「裏切り」行為を抑止する。
「村八分」という制裁は罰を与える側をも拘束する。「村八分」に参加しなかった成員は、逆に村八分の対象となってしまう。そのようにして、「村」の規範は守られるのである。
SMAP解散騒動は、芸能事務所とTV局および芸能人からなる共同体が、中居正広さんらの独立を「裏切り」と見なすことで抑止力を発動し、独立を阻止した事例と解釈することができる。共同体という旧システムに属するTV局が抑止力発動に与(くみ)したのは理の当然である。
また、TVの情報番組の出演者たちが騒動に対して当たり障りのないコメントをするのも、自分が「村八分」の対象とならないための行為と見ればわかりやすい。それに対して、旧システムに属さないネット民が、こぞってそれを批判したことも理解できよう。
このような所属型システムの対極にあるのが契約型システムである。こちらのシステムでは一回ごとに売り手と買い手が契約を結んで取引をする。形態としては市場におけるスポット的な売買に近い。
米国ではエンターテインメントの世界でも、俳優らが事務所に所属するのではなく、制作スタジオと直接契約を結んで労働を提供する。もちろん、契約型システムも万能ではない。一人ひとりの俳優の交渉力は弱く、搾取されかねないため、組合をつくって制作会社側に対抗する。
また、契約型システムでは、一部のトップスターのギャラが高騰することが知られている。それだけの価値を生み出しているのだから当然と考えるか、世の中は不平等だと考えるかは意見が分かれるだろう。もっとも、トップスターのギャラの高騰によって業界全体の発展に支障が生じてしまっては元も子もない。スター選手のギャラの高騰に悩むスポーツの世界では、様々な方策でチームの財政と個人の権利のバランスの維持に腐心している。
さて、日本の芸能界のような所属型システムを維持するためには競争環境=市場が存在しないことが前提条件となる。あるシステムからそれと競争関係にある別のシステムに低コストで移動できれば、抑止力は働かない。村八分は村から出ることにコストがかかる場合にのみ有効な手段なのである。
競争的な環境はしばしば新しいシステムの到来によってもたらされる。小林幸子さんと「ラスボス」の事例を見てみよう。小林さんは2012年の事務所の騒動以降、既存の所属型システムにおいて干されてしまった。長年にわたる紅白歌合戦出演も途切れてしまう。そんな小林さんを救ったといわれるのが、新しいメディアであるインターネット上の動画共有サイトなどが創りだした新システムだった。
衣装というよりは大道具に近い巨大な格好が、ゲームのラストに登場する敵のボスを彷彿(ほうふつ)とさせることから、「ラスボス」の異名をとり、ネットでの人気が出始める。閉鎖的な旧システムから離脱した小林さんはネットという新しい市場に参加することで活路を見いだす。
ネット民から絶大な支持を受けた小林さんは、15年大みそかの紅白歌合戦において既存のシステムへの復活を遂げる。ネット市場という新システムがマスメディア共同体という既存のシステムを揺るがし始めた。既存のシステムが新システムを取り込んでいくのか、既存のシステムが新システムに駆逐されていくのか。しばらくは共同体と市場のせめぎ合いから目が離せない。 」
【 芸能界にも「労組結成」が必要 SMAP独立問題きっかけに議論沸騰 】
2016/1/21 12:50
コチラ J CASTニュース
~引用~
「 SMAP解散騒動は、5人の「生謝罪会見」により一応の決着をみた。同時にジャニーズ事務所による過度な縛り付けの存在も改めて浮き彫りとなった。
大手事務所が牛耳る日本の芸能界では、独立・移籍がなかなか認めてもらえず、場合によっては干されてしまうことが「暗黙の了解」としてまかり通っている。ネット上では労働組合結成の必要性を訴える声も高まっている。
「芸能事務所縛り」は「日本にはびこる巨悪の一つ」
初報から5日目の2016年1月18日、5人は「SMAP×SMAP」(フジテレビ系)で緊急生会見を行い、騒動を謝罪した。ファンの願いどおり「解散」は免れたようだが、中居正広さんら「独立組」のこわばった表情や憔悴しきった様子が注目を集めた。
一連の騒動では、「SMAP育ての親」である女性マネジャーがメリー喜多川副社長との関係悪化により独立を画策し、これに木村拓哉さんを除く4人が追随しようとしたとされている。しかし計画は失敗。結局、マネジャーは芸能界から退くこととなり、4人が出戻りという形で「収束」したようだ。
そうした内部事情が報道を通じて公にされていた上で行われた先の会見は、ファンの目にジャニーズ事務所側の「勝利宣言」と映った。ネット上では「公開処刑」「ブラック企業そのもの」といった批判が相次ぐと同時に、不自由な立場に置かれた芸能人の労働環境を問題視する声も上がった。
芸能プロ事情にも詳しい紀藤正樹弁護士は今回の件を受け、タレントの独立を事実上許さず、独立すれば芸能界から追い出す「芸能事務所縛り」についてブログで言及している。これは「日本にはびこる巨悪の一つ」であり、労働基準法、独占禁止法、不正競争防止法といった多くの法的問題をはらんでいるというのだ。
ジャニーズ事務所のような大手芸能事務所の支配体制を崩すためにも、芸能人たちによる労働組合結成が必要だとする声も高まっている。
米国では芸能人の労働組合が活発
エンターテインメントの聖地・米国では芸能人の労働組合が活発だ。1933年設立の映画俳優組合(SAG、現在SAG-AFTRA)は、約16万人の組合員を抱える巨大組合として存在感を示している。対する日本には、俳優の西田敏行さんが理事長を務める協同組合「日本俳優連合」(会員約2500人)があるが、現状、芸能界に大きな変革をもたらす存在とはなり得ていない。
そもそも日本と米国とでは芸能事務所の仕組みが大きく異なる。「芸能人はなぜ干されるのか?芸能界独占禁止法違反」(鹿砦社)の著者でフリーライターの星野陽平氏は米国の事情についてこう解説する。
「日本は芸能事務所がタレントのすべてを管理していますが、米国では、みな養成学校に自腹で通い、出演交渉や金銭交渉を行ってくれる『エージェント』に履歴書を送って個人契約を結ぶんです。エージェントは法律であっせん手数料しか取ってはいけないことになっているので、スクール運営やマネジメント業務はできない。そのため俳優たちはマネジャーをつける場合、マネジメントカンパニーに依頼するなどして別途契約することになる」
日本の芸能人が事務所に所属する「会社員」的存在ならば、米国の俳優らはエージェントと対等に仕事をする「個人事業主」というわけだ。
では、事務所支配体制の日本においても、米国のような強い労働組合ができる可能性はあるのだろうか。
鍵を握るのは「ネットの力」
「日本音楽事業者協会(音事協:有力芸能事務所が加盟する業界団体)はタレントが強くなると困るので、当然黙っていないはずです。ただ、可能性はあると思います。たとえば82年には島田紳助さんが『吉本連合組合』を結成し、デモ行進も行っています。いま鍵を握るのは『ネットの力』でしょう」(星野氏)
今回のSMAP騒動では、ネットニュースの事務所批判記事が注目を集めた。YouTubeでは謝罪会見動画が何度も再生され、ツイッターではスマスマ放送後にサーバーがダウンするほどの盛り上がりをみせていた。
「ネットの反応をみても明らかなように、事務所による従来のメディアコントロールがきかなくなってきているんです。労組を作りたいと考えている人もいる。ファン側から労働組合の必要性を強く発信し、ネットメディアとともに世論形成していくことが大切だと思います」(星野氏)
ちなみに星野氏によれば、現在のような事務所支配の歴史は実はそれほど長くはないという。
「戦後、1953年に映画会社間の俳優の貸し出しを禁じる『五社協定』ができるまでは、俳優に仕事をあっせんする『俳優ブローカー』が活躍し、俳優も映画会社に対して強い立場にあったんです」
国民的アイドルをめぐる騒動は日本の芸能界に何か変化をもたらすか――。今回の一件で注目を集めているのはSMAPの今後だけではない。 」